ちりめん絵(Chirimen-e) Crepe paper print

 ちりめん絵というのは、浮世絵を棒に巻いて縮小加工したもので、柔らかい手触りとしわしわの見かけが絹織物のちりめん(縮緬)に似ているので、この名称が付きました。
 浮世絵の権威・吉田暎二氏は、「浮世絵事典」で次のように説明しています。
「 縮緬絵 ちりめんえ これは普通に摺り上げた版画を、棒に巻いて揉んで縮め、画面一面を細かい縮緬皺としたもので、大判錦でも中判位の大きさに縮まっている。これは版画としての鑑賞品でなく、一つの工芸品または玩具であって、色調描線もまったく別物となってしまう。これは天保以後行われたもので、草双紙の表紙に用いられたものがあるが、一枚絵にもしばしば用いられ、役者の大首絵や、広重の『江戸百景』にもこの縮緬絵がある。 明治時代になると、外人がこれを好むところから、輸出向きに制作したものも生じた。ただし、この時代には、手で揉んだ原始的な方法ではなく、一種の機械を用いたらしく、その縮緬皺も細かいけれど、一樣でなんら面白みも味われないものである。(上掲本・中巻193頁 緑園書房1965年 )
ここでは、ちりめん絵は本来の版画ではなく玩具か工芸品の一種であり、特に明治期の作品は皺の状態にも風情がないと、総じて否定的な見解が述べられていますが、実は、ちりめん絵には驚くほど立派な芸術性があり、海外では印象派の画家たちやゴッホ、マティスなどに大きな影響を与えました。ちりめん絵の製法とその影響については下記の書籍に詳しい説明があります。
 奥村紀一「ゴッホを育てマティスを生んだちりめん絵」アマゾン販売
2023年改訂版

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