巨大・手彩色古写真 「富士と薄」 44×62cm 撮影 ポンティング(H.G.Ponting) [44×62cm 1906年頃撮影]
手彩色古写真・巨大(マンモス版) 富士山 ハーバート・G・ポンティング(H.G.Ponting)44×62cm 額54×72cm 明治39年(1906)頃撮影
写真の右下に「09.9 Ponting F.R.G.S Copyright 」 という小さな文字がエンボス(浮き出し)で入っています。これは本品の発行時期が1909年9月で版権(copyright)が王立地理学会特別会員(Fellow of the Royal Geographical Society)のポンティングにあるという意味です。
英国の著名写真家ポンティングは明治35年前後に来日して数年にわたって各地で撮った作品を彼の著作「Japan Studies」や「In Lotus-Land Japan」の中で発表しました。この後者の書物中に本品と同じ富士山の小型写真が入っており、これを撮影するために実に三年がかりで大変な苦労をしたという体験が記されています。
「私がここから『富士と薄の穂』の写真を撮ることができたのは、最初にこの場所に来てから三年も経った後で、それまでに中ノ倉峠への往復十四マイルの道のりを十数回も歩いて、長い間辛抱強く待った後にやっと撮影することができたのだ。あるときは山が晴れていても風が吹いているので、穂が大きく揺れて思い通りの写真を撮ることができなかった。またあるときは、穂は揺れていなかったが、富士に雲が懸っていた。しかし、ついにある日、長い間待ち構えていた瞬間がやってきた。山はくっきりと見えていた。そして、ほんのわづかな間、穂が静止していたときに、待望の写真を撮ることができた。」
(「英国人写真家の見た明治日本」[原書の抄訳本](講談社)187〜8頁
ポンティングは富士山に特別な関心を持ち様々な地点から撮影した傑作を小川一真の出版社から大型写真集「富士山 Fuji San」として刊行しました(当店で販売中)。しかし1905年発行の本書には「富士と薄」の撮影が間に合わなかったため1910年刊行の「In LotusーLand Japan」の方に収められています。上記のように三年にわたる苦心のすえ完成できた大傑作ですからプロの写真家としては一段と思い入れが深かったわけで、それゆえ1909年にこれを単独で発行するに至ったようで、彼による多数の日本関係写真の中でも唯一これだけがマンモス版として販売されたことは本品の価値を如実に示しています。
たしかに本品はこれまで富士山を対照として撮影された多くの名品の中でも間違いなくベストテンに入る傑作と思われ、美術写真として歴史に残る秀作です。このたび欧州から里帰りした名作が本国で鑑賞されることは誠に有り難いことです。
コンディション:画面の右端と下端に帯状の汚れがありますが写真は100年以上前のものとしては鮮明で退色はほとんどなく全体的にきれいな状態です。(マット下の台紙には元の所有者の展示貼り付けの糊跡があります)。
販売価格: 235,000円(税込)