藤田嗣治装丁・口絵　川端康成序文　加藤健・詩集　「記録」　著者署名・献呈本 [昭和16年（1941）　創元社　136頁]

加藤健「記録」21×15cm 136頁　藤田嗣治装丁・口絵　川端康成序文

　37歳で夭折した岩手の天才詩人・加藤健は独特の言語感覚によって言葉を絵画的に配置する作風を持っていたので、その作品に感動した藤田は昭和12〜16年に発行された彼の詩集4冊の装丁を担当し、その一冊の本書では当時の著者の面影をリアルに伝える肖像画を付しています。５番目の画像写真と比べると病勢の進行と魂の苦悩がにじみ出ており、画家が詩人の内面を的確に捉えていることが分かります。この二人の芸術家は深いところで結びついていたようで生前に発行された加藤健の詩集10冊のうち4冊の装丁を藤田が担当しており両者の絆の強さが偲ばれます。

コンディション：裏表紙の右下端に折れ跡があり本文全体に渡っています。背に傷みがあり表題の下方が欠落しています。本文は部分的にしみと薄い汚れがあり、かなり良く読まれたらしく全体的に手ずれ感があります。